matagorou’s blog 尾崎豊 自由に生きられるかそして感動を得られるか

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浜松市民会館

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1985年11月5日 浜松市民会館

即日移動で南下した尾崎一行は静岡県浜松にいる。
浜松に訪れるのはこれで2度目になる。

リハーサルで会館内の間取りを確認すると、尾崎は設置されたピアノの前で「卒業」弾き始めてリハーサルを始める。

数時間後には本番で観客の前でこの曲を歌うことになる。
いつも通りに入念にリハーサルを終えると、楽屋で少しバカ話にメンバーたちと盛り上がっていると、時間はすぐさま本番手前の18時半に迫っていた。

SEのテープが切れると同時に尾崎は先にメンバーたちが待っているステージへと姿を現すがまだステージの照明は尾崎を狙わない。

尾崎がピアノに座ってピアノを弾きだす、そんな照明は尾崎に辺り、コンサートが始まる。

1曲目「卒業」
観客の手拍子も加わりながら、前日の疲れも見せずに安定したピッチでコンサートを始める。
2曲目の「彼」になると、前奏のピアノが哀しげにメロディーを奏でていく。

「彼」が終るとロックナンバーの時間だ、カウントをいれると「DIRIVING ALL NIGHT」が始まり、以前の大阪球場での編曲とは異なり音色に厚みを増したキーボードとシンセサイザーが尾崎の求めている音楽に共鳴したようにスタジオテイクにより近い仕上がりとライブでも見せることが出来ている。
、「Bow!」の前奏が始まるとギターを引っさげたまま、尾崎は狭いステージを右往左往するように歌い出す。

5曲目「ダンスホール」「Teeage Blue」と6曲目が続く、7曲目の「米軍キャンプ」は心臓の音をイメージした以前と同じドラムスが響く。

12弦ギターを持ったまま、尾崎はこの日初めて語り出す。
「この街へ来るのはこれで2回目になるらしい、初めてきたときと、2度目にきた時と、この前とはこの前来た時とは少し違う、その・・目の前にいる人々の表情とかが、遠い人の表情とかもっと見えるようだし、今日はなんだか一番後ろにいる君の顔までよく見えるよ、ありのままの自分が見せられたらいいかな」

カウントをいれると8曲目の「坂の下にみえたあの街へ」を歌い出し、フィナーレでは12弦ギターの弦が切れてはねていた。

9曲目の「Scrap Alley」にはいると尾崎は話を始める。
「俺の友達も結婚してようやく1年になるんだ、俺は結婚したんだって聞いてからそいつにあまり会う機会がなくてちょうどほんとうに1年ぶりくらいに彼に会う事ができたんだ。そいつは子供が生まれたことが自分にとってとても人生を大きく変えたと言っていた。

それは子供が生まれたことによって自分の人生が・・自分の人生が半分は子供にまるで乗り移ったんじゃないかってそいつは言っていた、そして毎晩奥さんと子供が眠りについたあと、彼は二人の寝顔を見ながら、幸せかいと呟いていた。」

10曲目の「存在」で叫び歌い終えると、リラックスしている尾崎はセンターマイクの前で語り出す。

「俺がこの曲を作った頃・・・・その前にみんな俺が作ったハイスクールロックンロールっていう曲を知っているかい?、俺がこのハイスクールロックンロールという曲を作った頃は、毎日こうやって1人で机にこしかけていつもモンモンとしていたんだ、そして1人でヘッドフォンをかけてウォークマンを聞いていた、例えば、ブルース・スプリングスティーンジャクソン・ブラウン佐野元春浜田省吾なんかを好んで俺は聞いていたんだ、だけどその頃作っていた頃にはなにか足りないと思ったんだ、

俺は俺自身の笑顔までじゃないけど、もしあの時俺がなにかしようと誰かに心を開く鍵をもっていたら、きっとこの曲はもっと素敵な曲になったんじゃないかって思うんだ、だけど今日ここに集まってくれたお前らと一緒に俺が一緒に歌うことによってこの曲はもっと素敵な曲にもっと素敵な夜を迎えさせてくれると思うんだ?みんな一緒に歌ってくれるかい?」

1,---,2!!!! 3!!!1

1,2,1,2,3,4,
カウントを入れると曲は始まりメンバーとも絡みの多い11曲目「ハイスクールROCK`N`ROLL」が始まる。

ロックンロール踊ろうよ、ロックンロール腐らずに~ロックンロール手を伸ばせば自由はあと少しさ!
観客と尾崎は一体して歌い倒す。
途中でブルースハープを持ち出してメンバーとの行進を始めると、間奏では観客にマイクをふって、合唱を誘うと、観客に語りかける。

「俺の情熱が足りないような歌い方だな」
合唱の途中で尾崎は言う。

「最近、俺は友達とよく遊ぶと必ずあることだけど、喧嘩が絶えないんだ、いつも悪いことをしたと思っている。みんな、みんなにっとっての真実っていったいなんだろう?俺は今日はなんだか、声も出ないし
ただひとつだけわかったことってのは今までこうやって集まってきてくれた連中ってすごくためらいもないような感じだし、

雑誌に載っている俺はなんだかそんな教祖の呼ばわりされているけど、だけど俺は今夜こうやって集まってきてくれた連中は本当に俺の仲間だということを願ってやまない、そしてみんなで本当の真実を掴むために!新しい一本を歩き出して行きたい、少なくとも俺は誰よりもみんなのことを愛している!一緒に歌ってくれるかい?」

曲はフィナーレを迎え、尾崎と観客はまた一体化していく。
サックス阿倍氏との絡みを終えると、ベースがビートを刻む。

12曲目の「Scrambling ROCK`N`ROLL」「十七歳の地図」「愛の消えた街」へとロックナンバーがどんどん続いていくなか、新曲「路上のルール」が終ると尾崎はマイクの前に立って肩で息をしている。

尾崎は語り出す

「最近、俺はこんな事を考えている。もう大分前の事になるけれど、このツアーが始まる少し前に毎晩一緒に戯れていた仲間のうちの一人がドラッグで死んでしまった。
道を歩いてる途中で鼻から脳みそを垂れ流して突然死んだ。その頃から、なんだか俺は、仲間っていうものを意識し始めるようになった。

そいつは2コ下の後輩で、いつも俺の顔を見ては

「尾崎さーん、今度コンサート行きますから」

なんて、最後の日もそう言って・・・毎晩のように一緒に居るっていうのに、そいつの叫びを誰も聞いてやる事が出来なかった。
仲間っていうものを意識し始めてから、イマまでの自分っていうのがなんだかとっても、やらしい人間に思えてならなかった。

自分に解るものだけを取り入れ、解らないものは否定し。
それから俺達は、そいつを弔うように毎晩のように喧嘩に明け暮れた。

誰が強いというわけでもないけれど、必死で自分の弱さと戦っているように思えてならなかった。
人を愛する事が、そんな生半可な事じゃ出来ないと・・・

16曲目「15の夜」
本編を終えると舞台袖の階段下でメンバーたちと一緒に煙草に火をつける尾崎の姿がある。
アンコールを望む声は地響きを増して「OZAKIコール」へと変わっていく。

メンバーが先に出ると機材と楽器をチェックして始まる、最後のロックナンバー
17曲目「Freeze Moon」
尾崎は中盤で語り出す。

「今夜こうしてこんなにたくさんのみんなと夜をわかちあえました、どうもありがとう、それじゃあ今日もこうして夜をプレイしてくれている、俺の頼もしい仲間を紹介するぜ」

「オン、ギター、鴇田靖ベイベー!」

「オン、サクソフォン、阿倍剛ベイベー!」

「オン、ピアノ、樫原伸彦ベイベー!」

「オン、ドラムス、吉浦芳一ベイベー!」

「オンベース、田口政人ベイベー!」

「オン、キーパー、松原博ベイベー!」

「オン、ギター、江口正祥ベイベー!」

「俺達、ハート・オブ・クラクション!」
ピアノの演奏が始まり尾崎は語り出す。

「俺は自分に関わる、人々・・・照明やモニター、PA、ローディーやそしてメンバー、そして今夜こうして関わってくれた人々、集まってくれた人々に感謝してこのツアーを回っている、どうもありがとう
そしてなによりも今夜こうして集まってくれたみんなに感謝したい!みんなを俺の仲間クラクションってよんでいいかい?」

「みんなが自由と真実を掴んでいくために俺は歌い続けなくては、やがていつか、今夜こうして集まってくれたみんなすべてが笑っていられるよう歌い、そしてそれを俺は心から祈っている。」

そう言うとステージは最後を迎える

‘いったいなんだったんだこんな暮らし‘こんなリズムいったいなんだったんだー‘
‘翼を広げ‘風を求めて‘

‘夜の街で風が吹くたび、俺たちは煙草をふかし、最後の1本を吸い終えると帰る金にすら足りなくなっちまう、なあみんな夢はあるかい?夢を負い続けてゆくことができるかい?

‘うまく言うことなんてできやしない、ただ・・・今夜こうして夢見たみたいに、俺は生きていきたい‘

‘だからもっと速く、もっともっと速く‘
‘俺たちは走り続けてゆかなければならないんだ‘ ‘バーイ See You Rock Roll`

そう言って尾崎は袖へ走って帰ってゆく、スタッフは尾崎を迎えて次の準備をする、
メンバーたちも演奏を終えて、アンコールの話を尾崎とすると、流れを確認してもう1度アンコールへとステージへ戻る。

18曲目「ILOVEYOU」
グランドピアノとシンセサイザーの音色が厚みを増した音を作り尾崎はその中で歌い出す。
歌い終えるとローディーが持ってきた12弦ギターを持ち出して弾き語る。

19曲目「シェリー」
ゆっくり語り出すとさっきよりも大きな歓声と拍手に包まれるがその歓声は止んで静かに聴くさきほどまでの観客へと戻る。
途中から伴奏がはいり、尾崎は叫ぶ

シェリー、俺は歌う愛すべきものすべてに‘

曲が終るとメンバーは前に並んで頭を下げる。

「今日は本当にどうもありがとう、今夜の俺達をこんなに暖かく迎えてくれたことをメンバースタッフ一同ともに感謝いたします、どうもありがとう」

「また会いましょう、それまでお元気で・・」
そう言うと尾崎は客席に手を振りながら袖へと帰っていく。

ステージは3時間手前であったが、ツアー序盤であるが、喉に少し調子がないと言いながらも、ステージ終えて尾崎は1日の休養を経て、東海道を西へ下る。