彼はステージを降りた。
そこからは手拍子を交えた「OZAKIコール」が響く。
終演のSEが流れる中、スタンド席からは彼が球場に再び現れる姿が見えたという。
再び尾崎コールが続くとメンバーが先に出てきた。
ドラムによるリズムがとられるとそこにシンセ、ベース、ギターが加わっていく。
途中から尾崎は颯爽とステージに戻ってきた。
「それじゃあ、もういっちょロックンロールいくぜ!、1!2!,3!,4!」
16曲目「紙切れとバイブル」
彼は最後の間奏でシャウトする、曲が終わると同時に17曲目の「Freeze Moon」の前奏が始まる。
‘夜はいつも・・・凍り付いていて・・・・‘
いつもの語りを終えると尾崎は満員の球場を見ながら語る。
「今日はこんなにたくさん集まってくれて、本当にどうもありがとう。死ぬなら、笑って死にたい
そう思い続けて走り続けているとまだまだその答えは先のような気がしてる・・・・・・
ただ、甘っちょろいといわれる、まだ青いといわれる、ションベンくさい話だっていわれる、、ガキだって言われる、だけど自分の心にうそはつきたくない。
それがどんな風に伝わっていくのか・・・・そんな偶然性は俺にはまだうまく言えない・・・・・
ただ・・・そんな一言、ひとことを俺は君たちに捧げたいんだ・・・
みんなをまだ俺の仲間、クラクションって呼んでいいかい!?
それじゃあ今回のツアーから俺と一緒にロックンロールすることになった俺の仲間を紹介します。
オンキーパー、勝又隆一、ベイベー!!
と言うと、この日はそれぞれメンバーのパートを各楽器で演奏していく。
オンギター、江口正祥ベイベー!!
フロム、サックス、フロム! 阿部剛ベイベー!!
オン、ドラムス 伊藤真視ベイベー!!!
オン、パーカッション、西尾純之助、ジュンちゃんベイベー!!!!
オン、ベース、入江直之、タロウちゃんベイベー!!
オンギター、甲斐完治ベイベー
オンピアノ&プロフェッサー、樫原信彦ベイベー!!!!!
と言うと「15の夜」のイントロがピアノで流れ出す。
‘盗んだバイクで走り出す、行く先もわかぬまま、暗い夜の帳の中へ~
‘誰にも縛られたくないと逃げ込んだこの夜に自由になれた気がした15の夜~
ワンフレーズだけでも会場は沸きかえっていた。
尾崎はそこで叫ぶ。
「俺達 ハート・オブ・クラクション!!」
‘oh~ oh~ いったいなんだったんだ、こんな暮らしこんなリズムいったいなんだったんだ・・・」
シャウトすると尾崎は倒れる。
サックスが前奏を吹くとメンバーたちが彼の元に集まってくる。
‘wow~wow 夜の街もテレビの街も俺たちにとっちゃどうでもいいことなんだ、風が吹くたび俺たちは煙草をふかし、最後の1本を吸い終えると帰る金にすら足りなくなっちまう・・・・・
‘いったいなにができる・・・みんな夢はあるかい?夢を追い続けていくことができるかい?決して決して自分に負けたりしないかい? うまく言うことなんてできやしない、ただこうして夢見たみたいに、今夜こうして夢みたいに、だからもっと早く・・・・
もっともっと輝くまで俺たちは走り続けてゆかなければ・・・・
バーーイ・・・バーーイ・・・ SEE YOU,ROCK`n`Roll
と言うと彼はステージを降りる。
メンバーはその後も演奏を続ける。
曲が終わればすぐにまた尾崎コールだった。
メンバーが出てくると尾崎は中央に運ばれたグランドピアノにこしかける。
18曲目「卒業」
最初から観客は合唱をしていると尾崎のボーカルにも熱がはいる。
かすれた声で尾崎は最後まで歌いとおした。
6弦ギターをもって尾崎はアルペジオをはじめる。
19曲目「シェリー」
前奏から観客は大歓声であった。
今日のコンサートを締めくくるための曲でもあった・・・
曲が終わると客席からは拍手と歓声があがるなか、尾崎は言う。
「今日は本当にどうもありがとう、今日あったこをメンバー、スタッフ一同、本当に感謝します、どうもありがとう。」
尾崎は一度、引き込む・・
終演のテープが流れる中、突然彼はまた12弦ギターをもってステージに現れた。
大歓声の中ギターを弾き始める。
20曲目「僕が僕であるために」
時刻は終演時間を少し超えながらも最後に尾崎からのプレゼントのような形になった。
‘僕が僕であるために、勝ち続けなきゃならない‘ 正しいものはなんなのかそれがこの胸にわかるまで‘
彼は力強くうたう、その声には伸びがある。
かつて福岡国際センターで見せた時とこのアンコールの形は少し似てもいる。
尾崎は歌追いえると「どうもありがとう」と言い、引き込むとまた終演のテープが流れていた。
彼は最後にステージ裏からセンタースタンドへ手を振りながら走るとスタンド席が沸き返ることになった。
終演後にすぐさま球場内の小さな食堂で彼は座ると小さな打ち上げを行った。
3時間以上も歌い続けたさっきの気迫は感じられても、素朴でいつもの尾崎に戻っていたのであろう。