1987年 12月
警察へ引き渡せばどうなるのだろうか?
豊はなにもかも失うだろう、社会的に二度と立ち直れなくなるかもしれない。
それでも、狂うのを放置することはできない。
そういった家族の決意がドラッグという証拠を見つけ出して警察へ豊を引き渡そうという結論に踏み入るまでの時間を要したのではないだろうか。
絹江氏は気の抜けたような様子であったという。
事態を現実のものとして受け入れることを心の奥底で拒んでいたのかもしれない。
「なかなかさめない悪夢だわ・・・」
とこの時期もらしていたという。