1988年 7月
話題は、次にライブを行う東京ドームの話になる。
「Big Eggって見に行ったことある?」
「Big Eggはミックジャガーのライブを見たんですけど、あの微妙な一秒ずつ遅れてくる・・」
「音が難しい?」
「うーん、なんかそういうことも関係なく見てて、ミックジャガーの存在自体がすごく素敵だったから・・・」
「歌は距離を越えられる、存在は距離を越えられる。」
「名言ですねぇ。だから僕もステージに立ったときに、微妙なずれ音とかそういったものを越えてね、その情感が一番後ろのお客さんにまで、自分の汗が飛んでいくんじゃないかって位激しいそして精一杯のものが伝わっていくようなステージにしたいと思ってるんですけど。」
「久しぶりのライブになるんでしょう?」
「とりあえず体力ですね、やっぱり(笑)」
「長いよステージは、やっぱ端から端まで走るっていう、息切れを感じさせない、距離を感じさせない。」
「そうですね。僕、日本のニュージャージーでジョギングして鍛えてますから。」
「(笑)走ってるんだあ。」
「もう牛を追い越し、馬を追い越し、あぜ道を走り、川に向かって叫び。もう背中には、牛や馬がたわむれ(笑)」
「週に何回とか走ってるの?」
「そうですねえ、三日おきくらいには。筋肉痛が治るたびに(笑) 本格的にやるとすればね、ちゃんとコースを決めて最初は短いコースから始めて、だんだん距離を長くして最寄の駅から最果ての駅までずーっと走っていくかんじですね、風景がめまぐるしく変わるという・・・」
「これぞマラソンだね。」
「マラソンというか、なんかあれですね「走れメロス」の世界です(笑)でも、楽しんでやってますけど・・・」
「好きでしょう、走るの好き?」
「結構好きですね、えぇ。」
「団体競技に向かないタイプだもんね。」
「そうですね。個人競技が主に得意なジャンルとされていますね。」
「そうでしょう、みんなでバレーボールとか絶対無理でしょ」
「バレーボールはねぇ、やっぱり自分のステージのようにねぇ。」
「球が来たら全部そこに自分がいってしまうという。バカのひとつ覚えのように猪突猛進走ってしまうタイプだよね。」
「そんなこともないですけどね。」
「イヤ私はほめたんですよ、ガムシャラだって。」
「あっ、少年のような。」
「22ですか?」
「そうですね、もうすぐ3になります。」