スタジオに篭っている尾崎はあまり、外の情報も得ないまま、ストレスを感じながらもレコード作りに励んでいる。
ようやく完成しかけていた曲のデモテープを作り終えると、スタジオへ戻っていく。
スタジオに行くと既に売り出されている、次期ツアーのチケットの話をする。
話によるとツアー序盤のチケットの売れ行きは好調、しかしメンバーと尾崎を驚かせて、喜びをあたえたのは東京公演の代々木体育館の2日とものチケットが完売したことであった。
1日のチケットが1万5000枚以上あると考えれば3枚万あるチケットがその日に消し飛んだことになるが、完売という結果は尾崎にとっても好ましい状況にあるわけであるが、いったい、何人の人間が尾崎のステージを見たがっているか、わからないということもある。
せめて数百枚でも売れ残っていればと考えた人間もいることであろう。
しかしチケットがうまくさばけている状況を見てもすでに引き返せないところにまで尾崎はきている。
ツアーに出てレコードを出す、それが尾崎の多忙な最後の十代を締めくくるこの日々の始まりであったかもしれない。