1987年 5月中旬
ツアーの話が続く。
ツアーバンドには十代の時と同じようにハートオブクラクションがバックバンドを務める。
ギターの江口氏、サックスの阿部氏、そしてピアノの樫原氏をバンドマスターにして新たにバンド編成を行い、新しいハートオブクラクションが生まれた。
ドラム、シンセサイザー、ギター、ベースが入れ替わって新しくパーカッションを設けた。
メンバーの人選は樫原氏が行いスケジュールが急遽調整された。
翌年まで続くツアーでありその本数は50本近くある。
ツアーといっても尾崎だけではなく少なく見積もっても20人近い人間が移動を行うのである。
安易に組めるものではなく会場のブッキングにイベンターの打ち合わせ半年近く前からの準備が必要なものだ。
今更取り消せば多大な違約金を支払わなければならない。
しかし幸運にも尾崎の帰国凱旋ツアーともいうべきこの TREES LINING A STREET のチケットは各地で完売が相次いだ。
尾崎はレコーディングスタジオにバンドが待っているスタジオでツアーリハーサルも並行しながら行っていく。
多忙な夏が始まろうとしていた。