1990年 7月
遠い記憶を呼び覚ましながらなにかを考えている。
尾崎は時たまこの作品を作るときになにを考えたのであろうかと筆者も考えてみた。
尾崎はこれまでに4枚のアルバムを作っていた。
十代での3枚と一線を画した4thアルバム「街路樹」は長い難産の末に生まれた3年越しのアルバムであったが用いた時間からすればファンからの賛否はっきり別れ尾崎から卒業する契機になった人もいたことは確かである。
ファンの離反よりも混沌としたものをまとめようとした結果が「街路樹」であった。
「誕生」には私小説的な内容を盛り込みつつ彼が楽曲創作を始めた頃によく持ち出していた世の中の「矛盾」なども入っている。
「十七歳の地図」から始まった尾崎の音楽は「街路樹」後に「誕生」という作品でまったく違ったものになったと筆者は思う。
この作品からのスランプから逃れられた尾崎を見てみたかったね。