matagorou’s blog 尾崎豊 自由に生きられるかそして感動を得られるか

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リハーサル

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1985年 8月25日 大阪球場
 
尾崎は球場に到着し、すぐにリハーサルをはじめる。
手を各所に振りながら尾崎は第一声。
 
「おはようございます」
「Driving All Night」を歌いながら、サウンドチェックを始め、マイクチェックを行う。
「前からの音がすごい大きいのだけど、横からもっと大きくできませんか、ボーカル」
と尾崎はいつもように指示を出すがいつもとは違うホールじゃないし、いつもとは違った環境で今日はコンサートを行うということが尾崎の念頭に置かれているようだ。
 
「はじまりさえ歌えない」この曲は尾崎が弾き始める。自分のギターのチューニングに余念がないマイクチェックを行いながら、バッキングチェックに一度確認をいれる、バッキングというのは背後で演奏される伴奏のことを指す。
 
尾崎はキーボードの井上敦夫氏に一番高い音を指定する、普段とは違う球場でのコンサート、音の反響を考えての尾崎の指示であったのではないかと考えることができる。
 
この日は普段とスタイルを変えて「ダンスホール」に用いるギターを12弦から6弦ギターに持ち替えて行う。
今回のツアーでは12弦ギターを用いた、スタジオテイクをこのツアーでは演奏してきたが、リハーサルで変更を行った、ギタリスト鴇田靖氏との2人で行ったルイードでの姿を思い起こすことができる。
 
尾崎はドーナツショップを歌う前に少し自分の心境を明かす
 
「こんな夏の太陽の下で働くのは初めてだ、夏の日差しに当たるのは初めだ、うれしいよー」
 
と、このライブが以前のような前座やゲスト参加ではないことを思っているようにも思える、尾崎は昨年、白井貴子の日比谷野音音楽堂でのライブの前座として初の野外ライブを行った、その次にはもう1度反核コンサートの参加者として再び日比谷野音のステージに立ち、ここで飛び降り骨折をした。
しかし以前のライブでは尾崎を目当てにした観客がすべてのライブではなかった、あれからもう1年が経ったこの日尾崎は自分を見に来るであろう観客をあの時相手にした自分目当てじゃない観客の数倍の人数を相手にこの夜を闘わなければいけない、そんな心境を一つ表しているようにも筆者はこの一言で推測するが、これは余談に過ぎない。
 
ドーナツショップでの語りで尾崎はこう残す
「いつか、僕がまだ13歳だった頃、ずっと人前で歌うことを夢見ていた、現実の中の僕は誰と協調することもなく、いつも嫌な人間だった、今こんな風にたくさんの客席が並べられて、やがてはそこに僕を見にくるなんて
ことは昔の僕から想像すればとても考えられないことで、本当のことを話せる、話あいてすら1人もいなかった、だがここに来る誰かが誰もが、話し相手をさがしたり、この街に疎外したり、かなしみを背負ってしまった事実があるとすればそれはなんてかなしいことなんじゃないかって思う、いつか読んだ本の中に人生がとても不可解であるという本をそんな言葉を見つけたことがある、僕はそんな不可解な人生の中で、少しでも君が笑ってくれることを願っている。
 
「もうどれくらい目を閉じていたんだろう、あとどれくらい歌えば僕は幸せになれるだろう?意図はどれくらい涙を流せば幸せになれるだろう?人はどれくらいお金を使えば幸せを手に出来るだろう?人はどれくらい歩けば、疲れ果てて死んでしまうのだろう?どれくらい君のことをよく照らせば君のことがよく見えるだろう?どれくらい叫べば、埋もれてしまわずに済むだろう?こうして目の前の君をいつまでも抱きしてめていたい。」
 
 
「Scrambling Rock`n`Roll」になると尾崎はいつもよりは広いこのステージを走っている、マイクをワイヤレスにするよう指示を出して、本番さながら走って、イントレに登ったりする。
本番で使えるものはないか、そんな実地検分は毎度のことのようだ。
左右にある、高いイントレに尾崎が登るとスタッフとメンバーは本番尾崎がここに登ることを確信する。
マネージャーのソラチは言う
 
「一緒に登って、絶対に落ちないように、ベルト掴んでろって言われました。自分が落ちても尾崎は絶対に落とすな、飛び降りさせるなって」
と昨年起った、ダイブを思い起している、メンバーも多かった、この日球場に集まって準備をしているものにはあの時尾崎を担いだ者もいる、あの時のことが記憶に新しい・・・。
 
リハーサルが始まって小一時間が経った頃、球場に仕掛けた温度計は37度を越える。
肌着を脱いで汗を拭いながら、「十七歳の地図」を歌いながらスピーカーチェック、音量調整を行っていく。
 
最後に尾崎は「米軍キャンプ」を歌いこのリハーサルは終る。
 
「それでは本番よろしくお願いします」
あとは本番を残すのみとなった、少しの休息を得るために本番まで自由な時間を用いて集中していくのである。