路上のルールという曲が出来上がって、少なくともこのアルバムに収録される曲の多くには尾崎の
「喪失感」というものが強く押されたような形で出ることになった。
レコーディング後半に作られたこの曲はA面の1曲目となる。
尾崎はこの曲に関しては85年の3月頃一ヶ月ほど滞在したNYでの生活でのことが強いイメージがあると答えている。
例えば「なくしたもの」「失ったもの」「未練」などがこのアルバムの魅力のようにも感じられる形となっている。
そしてこの「路上のルール」という曲はその時初めてみたNYでのことを表した最初の作品であったことは言うまでもなく、東京という尾崎のホームグラウンドであった「街」よりもNYという街でより極端な形で「街」の姿を見たことであろう。
そしてこの曲で使われている「笑い」という言葉は幸福を求めていくために出されていく「笑顔」イメージしているものではなくて、「見透かした笑い」という詩がある通り「欺瞞」であったり
「ごまかし」であったりしたのであろう。
「純粋無垢な君の笑顔が頼りだよ」
と言っていた少年の笑顔ではなくなっているということを須藤氏は尾崎へ問いただすように聞いてみると、
「ああ、そうですね」
と元気なく、答えたことがこの曲とレコードを作るために生活していた尾崎の答えだったようにも感じることができる。