新居さがし

１９８６年 ９月

尾崎はダウンタウンから新しい地を求めて新居をさがしていた。

安全性を考えて、ホテルはやめて少し手広で窮屈じゃないアパートが尾崎の理想であったが、すぐには見つからなかった。
日本から来る会社の人間の対応に追われながら、新しくアップタウンに引っ越そうと計画していたが少し実行が遅れていた。

アップタウンでの新居さがしが始まる。

ダウンタウンはあまりにも尾崎に危険すぎたかもしれない。

 

ＮＹでも治安の悪い街で過ごして覚えたのはまた大きい孤独とドラッグであった。

ドラッグをおぼえてからの生活は前とは違っていた。

 

確かではあるが、孤独や不安というものをドラッグの力でほんの少しの時間であったが忘れるようになっていた。

時にはなにかと話せるのではないかという思いさえもあったが、それは尾崎にとっての現実であって他者から見れば幻であったのかもしれない。

 

確実に蝕まれつつある日々の中でこたえを探し切れていない尾崎である。