1986年 9月中旬
アップタウンへ尾崎は赴いて引っ越し先をさがしていた。
この殺伐としたダウンタウンでうけた刺激と身と心に作った孤独や傷の深さは大きかった。
ドラッグも覚えて、いけないことばかりだ。
自分の住んでいたホテルにも危ないやつらが大勢住んでいた。
ドラッグの売人や盗み、強盗をはたらいているやつなど様々だ。
余談が過ぎた。
アップタウンでの部屋さがしで尾崎が求めていたのは安全だった。
未開の地で安全も保証されないことはわかっていても、安心できない生活が続いていたのは事実だ。
アップタウンで警備員が立ってるアパートに空きがあるときいて尾崎はそのアパートを見にいくことにした。
内心、今のダウンタウンのホテルより勝っていればよかった。
家賃も高くはない。
少し期待をもってアパートの下見を手短に終えると尾崎はダウンタウンのホテルへと戻っていった。
持っていくものと処分するものはもう分けてある。
あとは運び出すだけでもあった。