1985年 ８月２５日 大阪球場
列を作った観衆たちはようやく、球場の中へと入っていく。
２５００円のチケットを彼らが手にしたときからあまり月日は流れていないが、彼らにとってみれば、この日は待ちに待って望まれた日であった。
球場へはいれば、スタッフと尾崎が先ほどまで座っていた客席に人々が詰めかけ、先ほどまで空いていた客席を見かけることはなくなった、ステージから内野席まで、すべてが人で塗り潰され、開演の６時をこの席で待つものが多い。
尾崎が現れるまで少し時間があるが客席からはもうOZAKIコールでいっぱいだ。
この声を尾崎は楽屋の中で聞いていたであろう。
スタッフたちはステージ裏の控えテントでギターのセッティングを行っていく。
チラホラメンバーもテントに現れ始まる。
尾崎はまだこない。
