という発想を浮かべた人間は多くいたことであろうが、実行にうつした事務所は過去には存在しない。
その思いをこの８６年に画策したのがマザーエンタープライズであったが、事務所としての旨味は多く
これまでレコード会社と分配せざるをなかった、レコードの純益も丸々事務所の利益として得ることができるので、これほどうまい話はなかったであろうが、そのために投じる資本は莫大なものでありまた業界内でもこれまで培ってきた信用を失うことにもなりかねない。
マザーにとっても大きな賭けであった。
なにより今契約しているレコード会社との契約を更新するのはアーティストの選択であり、事務所サイドとして強制はできず、本人に働きかけることしかできなかったであろう。
このことはまだ尾崎の知るところではないが、社内では内々に進められ計画であり、その話を持ちかけるのは少々先の話になりそうである。
