1986年 7月中旬
尾崎は街を歩いては、ホテルへ帰る生活を続けていた。
殺伐としたダウンタウンでの生活は刺激的であったことであろう。
歌うきっかけをまださがしている最中だった尾崎は悩んでいるところでもあった。
「自分はなにを歌えばいいのか」
きっかけを伺いつつ、尾崎は日本へ電話をした。
CBSソニーのディレクター須藤晃氏へであった。
尾崎は単刀直入に
「会いたいんです、こっちに、NYに来れませんか?」
と聞いた。
須藤氏も日程を調整して7月中にNYへ行くことを約束すると尾崎は今住んでいるホテルへの住所だけを告げて電話を切った。