1986年 7月 中旬
尾崎はレストランにつくと、注文を終えてから須藤氏とこれからのレコーディングのことなどについても話し合っていた。
次は海外のミュージシャンを集めて海外で録ろうという話は20歳の尾崎の頭の中にはこの頃からあった考えであったのかもしれない。
そしてなによりも海外でPVも撮影して、レコーディングもこっちでと先の話に花は咲いていた。
ビザも取り直して、長期滞在ができるように申請し直すという話も談笑交じりにはいっていた。
須藤氏が思っているよりも尾崎は元気なのかもしれないと思いが強まっていたかもしれないが、さきほどに見た尾崎のノートを見れば心配は隠せなかったかもしれない。
尾崎は仕事の話を少し切り上げると食事をしながら、別の話を振った。
「スティービーワンダーのライブに行きませんか?、ちょうどチケットが2枚あるんです」
と言った。
どうやって尾崎がこのチケットを入手したのかは今も明らかになっていないが、須藤氏はこの誘いをうけて翌日ライブに行くこととなった。