1988年 3月28日 東京ドーム
HOUND DOGが1986年末から続けてきたツアーの最終日は東京ドームで行われた。
この日はツアー207本目のライブとなり大成功で終わった。
東京ドームには尾崎と長く仕事をしてきた、アートデザイナー田島氏の姿もあった。
彼はHOUND DOGのツアーパンフレット制作も担当しており、この日はライブ撮影が仕事であった。
終演後、田島氏はこの東京ドームで尾崎もコンサートを開催する決定がなされたことを知って驚いたという。
それは緻密に計算された企画というよりは勢いに任せた末の結果のように言い放ったプロデューサーの言葉が気持ちよく田島氏の耳に響いたという。
‘さっき決めたんですよ。もうここまで来たんだから、やるしかないさ‘
という言葉であった。
すべての観客が去って、ステージの撤去が始まったアリーナ席で田島氏は半年後に尾崎がこの場所で歌うことを想像できなかったと回顧している。
まだ尾崎は謹慎中であり、表立った音楽活動を再開もしていなかったからだ。
半年後に5万人の観衆が尾崎を見に埋め尽くされる光景を誰も想像できなかった。