1988年 4月中旬
レコーディングの合間のジャケット撮影が行われた。
シングル「太陽の破片」は6月に発売される、それを考えるとギリギリのスケジュールでもあった。
スタジオの中は沸騰した油の粒子でむせ返っていたという。
写真を撮る田島氏は一刻も早くこの状況から逃げ出したかったがこの日に限って尾崎は何度もポーズを変え続けていたと回想している。
一条の演出された太陽光線の中にたたずむ尾崎は懸命に自分の思いを写真として表現することで、きっと長く幽閉されていた生活の最後の部分を清算していたのだろう。
と、田島氏は後年述べた。
光を見つけたのか、もしくはなにかに足掻くようなこのポーズは尾崎のシングルジャケットの中でもまた特異なものになったと思う。