1985年 11月28日
いわゆる世間的に言う「十代最後の日」を尾崎は釧路で迎えていた。
この日は翌日の室蘭公演への移動日であった。
昨夜から降り続いた大雪は朝にはホテルの外を一面銀世界にしていた。
「雪っていうと嫌な思い出が多くて,学校停学になった日も雪だったから雪の中にいると精神状態がおかしくなるんだ」
と尾崎は言う。
その雪は移動の足にも影響しており、飛行機を使えば釧路から札幌までは40分ほどの時間で移動できるが、飛行機は雪のせいで欠航、列車を使って5時間の移動が待っていた。
「なんて地味な十代最後の日なんだ!」
と気にせずにいたことが尾崎を包んでいた。