1986年 9月中旬
アップタウンから帰ってくる頃には陽も沈んでいた。
真っ暗になると危険な街なだけあるようにこのダウンタウンのホテルは尾崎にとって核シェルターに等しいものであったかもしれない。
よく顔を合わせる隣人にも挨拶すると彼は快く返して部屋に戻るとベッドに横になった。
アップタウンを歩いたりして今日は疲れたというのが心境であった。
こんな生活はいつまで続くのかなんてことは尾崎も考えていたが会社は自分の陣営に尾崎を引き込むことに必死になっている。
無期限活動休止にしたもののいつ再開するかわからない状況でもあった。
もう少しで10月になる。
86年も残すところ2ヶ月になろうとしていた。