1986年 11月中旬
尾崎はこの田舎街に1週間滞在し続けた。
街には綺麗な住宅街もあれば、お城のような大きな屋敷もある。
さびれた街もあって、生活水準の違いを垣間見ることが多かった。
24時間開いているさびれたレストランで独りきりの食事をとることがほとんであり、場末の酒場のようなレストランだったという。
ホテルでのギターで何曲かのフレーズができた。
詩はまだできあがってこない。
新しいアルバムを出さなければいけないなんて誰かに言われたことでもない。
しかし歌うことが彼の仕事でもあった。
どこかにこの状況と寂しさすべてを捨ててしまいたいと思ったことさえ尾崎にはあったであろう。
しかし孤独のなかにおかれたNY生活の思いは後の作品に大きく影響を及ぼしたことであろう。