1987年 8月29日 有明コロシアム
定刻通りにライブが始まった。
メンバーや尾崎が出入りする入り口からステージまで離れていた。
演奏が始まると彼は出てくる。
照明もまだ彼を追わずに、ただ観客は拍手と歓声で迎えるばかりであった。
1曲目に「LIFE」
狭いステージの中央にすえられたマイクスタンドを抱えるようにして歌う。
ローディーのもってきたギターをかけると「DRIVING ALL NIGHT」が始まる。
尾崎は始めに転倒するが、苦笑いをしながらも這いつくばって歌う。
ピアノの上に乗っかったりとそのパフォーマンスは激しさを増す。
「BOW!」ではステージをぐるりと回ってみた。
この日の観客は約1万人だった。
12弦ギターを持って尾崎が出てくるまでは少し時間がかかった。
照明が一気に彼を追う。
「こんばんは・・・ 今日は俺のとこまでわざわざどうも」
4曲目に「街角の風の中」
ギターにピアノ、サックスが響く。
5曲目にタンバリンをもった尾崎は「失くした1/2」を歌う。
そこから「誰かのクラクション」、「FORGET-ME-NOT」、「ILOVE YOU」が続く。
彼はギターを持つと、語りだす。
「最近、昔の友達に会った・・・中学生のときの友達で・・・そいつと互いに顔を見合わせながら随分・・・変わっちまったとぼやいていた・・・今の俺の気持ちは・・・届くのだろうか・・・」
そう言って始まったのは「15の夜」、「十七歳の地図」と続く。
「路上のルール」から「存在」メンバーを引き連れて、ステージを走り回ると汗だくになった彼はステージに横たわる。
終わって間もなく、「ハイスクールROCK`N`ROLL」のイントロが流れる。
「俺がNYにいったときの話を聞いてくれるかい!?」
そう始まる彼のNYでの話が始まる。
「ある朝早く俺は、セントラルパークでハンバーガーを食っているとたくさんの、小学生くらいの子供が白いのや黒いのが俺に向かってこう言ったんだ DON`T TOUCH ME ROCK`N`ROLL・・・・・
それを聞いたとき俺は思ったんだ! 一生ロックしてくしかねえってな!!
みんなついてくるかい!?」
そう観客を煽って彼は離れていた自分とオーディエンスとの距離を縮めながら双方のボルテージをあげていく。
「SCRAMBLING ROCK`N`ROLL」、「核」、「街路樹」とナンバーが続く。
アンコールでは新曲の「ISM」そして「Freeze Moon」を歌う。
メンバー紹介を済ましてから、彼は言う。
「今いくつかのことを君に伝えようと伝えたいと思った・・・・・・・・ いくつかの言葉をいくつかの思いを・・・・何度となく・・・勇気と・・それから・・・やさしさに・・・奪われていくひとつひとつの・・・観念や・・・心のなかのひとつひとつ・・・どれくらい叫べば・・・
どれくらい・・・走り続ければ・・・わかりあえるのだろうか・・・・・」
アンコールにはまた応えた。
「卒業」そして「シェリー」
シェリーの最後には仕掛けてあった花火が散る。
それは夏の終わりを少し象徴するようでもあった。
最後にメンバーと別れを告げるとギター1本で「僕が僕であるために」を歌う。
彼の有明での夜は終わった。
翌日でのステージを終えるとツアーは始まって2ヶ月を終える。