1985年8月25日
尾崎たちが昼間出てきたホテルは帰ってくるのを待っているファンたちが既に大勢にいる。
球場の外にも出待ちのファンはいる。
これまでの出待ちというのは少なくとも地方の小さな会館の中の2000人にも満たない人間たちからであったが、この夜は2万人もの人間が尾崎を見て家路につこうとしている。
そんな群集たちは尾崎が出てくるのを球場の外で待っている者もいる、悠長にしていれば交通でのパニックも起きかけない。
尾崎とメンバーは荷物をまとめ球場を出た。
彼らのタクシーを追いかけるバイクや自転車たちもいる、追いつこうと必死な女の子もいる。
いつしか尾崎はこんなことになることを想像していただろうか・・
ふと新しい寂しさを覚えてしまったのかもしれない。
同じホテルへ戻るフリをして一行は別のホテルへと向かう。
もちろん全員の荷物も先に移してある。
静かなホテルへと行くと、尾崎とメンバーは少しの休息を取り、やがてツアー最終日の食事になる。
最後まで劇的であったこの大阪球場の1日であった。