レコーディングはかくして協議をしながら進んでいく、最初の5曲のことを先に書いてしまおうと筆者は思う。
以前この「ドーナツショップ」と「誰かのクラクション」の2曲を対極させて筆者は話を書いたが、今回の稿はその延長上にある話と推察して読んでいただきたい。
もう一度書けば、この「ドーナツショップ」という曲が最初は「誰かのクラクション」という曲でよばれていたのではないかと書いていたが、その時期の尾崎は数日後には「ドーナツショップ」と改題して、リストにもその名前で書いている。
詩も大きく変わり、‘誰かのクラクション‘という初期にあった詩は削られる形となった。
尾崎にしては珍しく、アコスティックギターを前面に出した曲となっており、この曲に対しての尾崎の思いは残っており、
「ドーナツショップって今自分がいる環境なんだ、甘酸っぱい匂いがして、きて僕はそこに腰かけてウィンドウ越しに人の流れや、車の流れを見てるような気がする」
と簡潔に述べている。