アルバム作り、1枚のレコードを作るということは、一つの作品を送り出すことに変わりはない。
映画のように一つの作品を作り上げるために必要なシーンを撮影するのとは違うが、この「壊れた扉から」という名前に合った、タイトルをいれる思いと、これまでに作り上げてきた曲を詰め込んだ尾崎の十代のロックンロールというものの集大成となろうとしていた。
自宅で録音したデモテープを再びメンバーたちに聞いてもらう。
曲は「誰かのクラクション」
ギター1本で奏でる、このデモテイクを聞いてメンバーたちは首をかしげる。
「これはどうしたらいいのだろうか」
ディレクターの須藤晃氏もまったく同じ考えであった。
頭を抱えている日々は長く続いているが、そうしている間に締め切りの日は刻一刻と近づきつつある。
十代最後のアルバムを送り出すために、涙を流すことになっている彼らである。