1987年 1月31日
作られたベーシックトラックを聞きながらスタジオの中を歩いて右往左往している。
そのトラックを流しながら、マイクの前に立つ。
仮歌入れだ。
長くマイクを前にして歌ったことはない。
声が出るかどうか自分もスタッフも半信半疑であった。
尾崎もそのことは心配であったろう。
出してみると声は出る。声量は以前より豊かで広がりがあるようにも聞こえる。
軽く歌うつもりが少し熱が入ったが結果オーライ、スタッフもホッとしていた。
スタジオから尾崎が出てきて煙草に火をつけて一服してから言う
「ヴィックス・ドロップある?」
と少し照れながら言う。
喉を気遣っている。