1987年 4月下旬
フルオーケストラによる演奏によって「街路樹」は完成に近づいていた。
あとは重要な尾崎のボーカルが問題である。
ノートから引きちぎった紙片たちには彼が搾り出した断片たちが書きなぐられている。
「街路樹」もそんな作業の中から生まれて落ちたものといえるであろう。
「街路樹」「核」「街角の風の中」「ISM」「紙切れとバイブル」「LIFE」
仮題だけでもつけられ完成しようとしている曲がこれだけはあった。
その中でも「街路樹」と「紙切れとバイブル」はアルバムのタイトル候補にもなってスタッフの中では話題になっている。
「紙切れとバイブル」彼の中にある聖書・・・ともうけとれるような言葉が彼らしさを象徴できるフレーズととれやすいからだったかもしれない。
余談がすぎた
「街路樹」は何度もこのレコーディングで歌い重ねたが、伸びと太さを手に入れた尾崎の声で「街路樹」は完成した。
フルオーケストラによってフィナーレを迎えるロックナンバーなんてあまりないであろう。
そこには大胆で新しく尾崎が創り出すロックビジョンがあったのかもしれない。