matagorou’s blog 尾崎豊 自由に生きられるかそして感動を得られるか

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大阪バナナホール

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1984年6月25日 大阪バナナホール

長蛇の列が昼間から作られている。

学生服姿の中高生もいれば、私服の人もいる。


尾崎豊という18歳の男を見るため300人の人々がこのライブハウスに詰めかけた。

ファンたちはチケットを片手に並ぶ、開場後雪崩をうつように列は進み、樽がステージのそばに置いてあるこの独特なライブハウス、大阪バナナホール、大阪のライブハウスの中では大きなキャパシティを誇り、若手シンガーの登竜門とも言うべきところだ。

SEのテープが切れ、ライトは消える。
ステージに照明だけだ照らされるとメンバーは先に出てきた、演奏にはいる。

1曲目「街の風景」
その姿はルイードを彷彿させるが、3ヶ月前の尾崎の姿ではない。

2曲目の「はじまりさえ歌えない」
にはいるとギターをかき鳴らして、客を煽りながら、歌っていく。

3曲目の「Bow!」まだアルバム未収録でありながら、先日のルイードで披露した、社会を揶揄しながら鬱屈した尾崎の気持ちを素直に伝えている。

ロックナンバー2曲を歌い終えると、マイクスタンドの前で肩を揺らしながら息をしている尾崎がいる、ドリンクがはいってる、カップのものを口に含むと、口を開くと怒気を含んだ声で語りかける。

「何だよ!その目はよ!コンサートこれからどうなるか見てましょう…だと!…フザケンナ!…何かもっと別の事を話せって?俺がお前を傷付けたって?」

客は目を丸くして、尾崎を見つめるとそれを無視して演奏が始まる
4曲目「傷つけた人々へ」
ルイードとはまったく違うパフォーマンスになっている、あの時少し謝罪の面もこめていたであろう言葉はどこへいってしまったのか。

12弦ギターをかけるとアルバムの最後の曲「僕が僕であるために」が5曲目に演奏された。
そこから「OH MY LITTLE GIRL」とバラードが続き6曲目を歌い終える。

グランドピアノに座ると先日披露した新曲「卒業」を7曲目に演奏する、狭いライブハウスにセットされたピアノを慣れない手つきで披露すると、ピアノから立たず、語りかける。

「みんなは戦争についてどう思う?そういった考えも大事だとは思うんだけど、すべては同じようなものではないんだ、俺の中では」

そう言い放って彼はピアノで淡々と演奏を始めた、悲しげなイントロは今までの尾崎の曲とは少し違うようだ。
8曲目に演奏された「反核」という仮題がつけられた新曲はこのツアーから演奏をしている、途中間奏で尾崎はこう語りかける。

「俺の目を見てくれ、俺に何ができる、傷つけたくはないんだ、愛を守りたい、ひと思いにやってくれ苦しむのは嫌なんだ、戦争なんて今でも終わってないんだ、本当は何でも一部の状況にしか過ぎないんだ」

こう途中で語るとサビでコーラスが絡みながら、

「抱きしめて!、愛してる!oh! それだけなのに」
想定がしにくいこの新曲は鋭利にどう完成していくのか・・・


「俺たちはこの街の中で生きていかなくちゃならないんだ、俺にこうして、何が言えるわけじゃないけど、そんな愛や真実を歌っていきたい」


9曲目ハイスクールRock`n`Roll
軽快なロックサウンドに、尾崎はポケットからハープを取り出して、吹きながらギターの2人を煽りながら、リズムを刻みつつ「自由!」とこう何回も叫ぶとこの曲は終わる。

「俺はよ、仲間と歩いてよ、まあ大阪の街を歩いてきたけどよ、見てみな、この街のスクランブル交差点でロックンロールがやりたいってね」

煽り調子な尾崎のMCとベースが刻むビートに熱が加わってゆく、これまでライブで何度か演奏してきた10曲目「ScramblingRock`n`Roll」間奏で尾崎はPAに登る、観客は冷静な視線で尾崎を見るがそれを振り切るように飛び降り、着地すると、ギタリストの鴇田靖を肩車してステージを右往左往する、尾崎は余裕の姿でステージを演出して、盛り上がりを見せていく。

「みんなロックンロールは休むことねえぜ」
そう言ってカウントをいれると演奏される。

11曲目「十七歳の地図
観客にとっては尾崎のバイブルという立ち位置に不動のものとしてたっている、この曲、ギターサウンドのイントロがはいるだけで歓声がきこえる。

休むまもなく12曲目「愛の消えた街」が演奏される。
少し小休止のように、ピアノのイントロがはいると、ステージは真っ暗、夜というのか真夜中を演出しているのか、響くピアノがまたそれを引き立たせる。
尾崎は語りかける

「俺は中学のとき、あの日、家出をして俺は結局あれまでの君たちのことやそういった他のこともだからこの歌にはそうした・・結局俺たちはそんなことがあってもいれられない・・

俺なんてのはこうしてこんな仕事をしていてよかったとかじゃなくて、けど、学校にいるよりは今は自由で、スタッフの連中だって俺たちが本当に良かった夜だったかどうかなんて、結局俺たちの

自由って少し制限されたような、でも俺は信じてる10人の友達と最近集まって、話をした、いまだにそいつらも昔のことや今のことなんかを話しながら、だけど俺たちが、かっこつけた話かもしれないけど俺たちどんなに、働いていっても、別に悪いことやるわけじゃないけど、

自分のために、すべてを、そして死ぬ前にまたみんなで集まって、集まれるか、わからないけど、本当に俺の人生ハッピーだったって思えて死ねれば、そこにたどり着ければ、俺は社会なんかに媚うらなくてよかったって思うよ。そこに15の夜って曲を捧げます。」


ブルースハープを吹きながらそれが止む頃、息を合わせて始まる
13曲目「15の夜」
長い語りのあと15の夜を歌い終えると尾崎はステージを降りた。
袖へと消えていけば、煙草を加えて火をつける、煙を吐き出すと熱烈なアンコールを唱える声に尾崎は反応してステージへと戻っていく。

アンコール14曲目「ILOVEYOU」と続き15曲目の「シェリー」
12弦ギター1本で序盤までかき鳴らしながら歌うと、伴奏がはいり、間奏で語りをいれる。
尾崎は言う

「今日はこんなにたくさん集まってくれて本当にどうもありがとう、俺の歌は金のためじゃないよ
ただ、社会に出て傷ついたり、1人で生きていけないんだ、そんなことを思って、平等とすべてを思ってそんな、どうでもいいことと思われるかもしれないけど、

素直に歌って俺の歌にケチつける前に、ただ俺はそんな、一つのところに留まることがいけないはずだ、自分がこうだと考えれば間違えることを恐れずに、きっとこうしていけるだろう、

だから俺はこうして、たとえそれが俺がどんな風になろうとね、こんなに集まってくれて本当にどうもありがとう」

こう語り「シェリー」を歌い終えると尾崎はまた去っていく。
再度熱烈なアンコールがくると尾崎はそれに応える。

歓声が途絶えることはなく、最後の曲を行うためピアノが前奏を弾き始める。

「俺が歌を歌うようになってから、たくさんのかなしみを背負ってきたけど、いつだったか、そんな思いをとどめていると、そんなときに思っていたことを思い出す、俺はそんな時夢を見ていたあの子の曲を歌います」

拍手喝采の中、ツインギターで演奏される最後の曲
16曲目「ダンスホール
ルイードでの最後もこの曲をアンコールにもってきていた。
飾らない、という言葉がよく似合う曲に観客は耳を傾ける、曲が終わると短く礼を述べる

「どうもありがとう」

こうして尾崎の大阪公演は終わった。
次は広島へと向かう。