この曲の録音の風景について触れなければならない。
少し熱がはいったような状態の尾崎とバンドが準備を始めると、機材をまわしながら、調整室で須藤氏が合図を出すと、一斉にバンドの演奏が始まり、レコーディングが始まった。
始めに言っておくと、収録されているテイクは最初に録音されたテイクであり、言い方を変えれば一発録りというものである。
イントロや間奏、後奏などで尾崎はシャウトし続けているが、須藤氏が当時のこのときの話によると、
「レコードでこんなにシャウトしていると多いのでフェーダーを下げて、カットしてしまうのが普通、それくらいシャウトしている」
と回想をしている。
そしてこの曲には過去2枚で作った尾崎のアルバムにはない明るさがなく、暗さと答えをもとめて疾走する男がいるように、死に物狂いでアクセルを踏み込んでスピードを出している、姿が思い浮かぶ。
筆者が以前にも述べた自己破壊であるが、
「俺は壊れてもいいんだ」
そんな思いが最初から念頭に置かれた曲であったとすれば、そんな自己を破壊して一種完結を求めているような思いも察することができるのではないだろうかと筆者は思う。