1988年 9月12日 東京ドーム
開場時間が過ぎると各ゲートから人がなだれこむ・・
あっという間に約180℃ある客席は埋まってしまった、5万人弱の観客である。
尾崎はリハーサルを終えてから伸びきった髪を切っていた。
カメラマンの山内氏と談笑していると顔つきが昔のように明るくなってきたという。
開演時間が近づくにつれて部屋をいったりきたり落ち着きがなくなってきた。
ばか笑いが少なくなり、はにかむような笑顔になる。そして、ふと何か考え事をしているような顔になる。
そしてあっという間に開演の時間がきた。
客電が落ちる頃ステージ衣装を着込んだ尾崎はステージ裏まで歩いていた。
メンバーと挨拶すると彼らが先行する。
オーディエンスとの1年の空白を尾崎はこの1本のライブに集約して送信する夜が始まろうとしていた。